音楽だけじゃない、東京音楽大学付属幼稚園! ひらがな・英語・運動・製作・・・毎日の保育を覗いてみました。
「音大幼稚園って言うだけあって、やっぱり音楽の時間が多いの?」
「音楽以外には、どんなことをしている?」
「小学校入学につながるような活動もある?」
「東京音大」という名前から、音楽を中心とした幼稚園をイメージする方も多いかもしれません。でも、実際の園生活をのぞいてみると、文字に触れたり、絵を描いたり、植物を育てたり、身体を動かしたり、友だちと一緒に作品をつくったり。子どもたちは毎日の保育の中で、さまざまなことを経験しています。
私たちが大切にしているのは、音楽を通して、幼児期に必要なことに出会い、学べる環境をつくること。自由にあそぶ時間も、みんなで取り組む活動も、一人ひとりの育ちにつながっています。子どもたちの普段の姿と、保育の中で大切にしていることをご紹介します。
※記事内に出てくるアンケートデータは、東京音楽大学付属幼稚園の保護者アンケートをもとに集計。複数回答の設問を含みます。
自由あそびと集団活動。どちらも大切にする保育

自由あそびの時間には、それぞれが好きなあそびをたのしむ。それが音大付属幼稚園の毎日です。晴れた日には園庭へ。夏には砂場に水を運び、泥あそびをすることも。雨の日にも、室内の遊具で身体を動かせるようにしています。グランドピアノに自由に触れてあそぶ姿も、日常の一場面です。こうしたあそびの時間と、クラスのみんなで一緒に取り組む時間の、どちらもが大切。朝の体操や季節の製作、音楽の活動など、一日の中にはさまざまな時間があります。思いきりあそぶことも、次の活動に気持ちを向けるための大切な経験と考えています。
ことばや文字への興味を、日々の経験の中で

東京音大幼稚園では、「言葉あそび」や「描く経験」を重ねながら、少しずつひらがなに親しんでいきます。年少では、クレパスなどを使い、まずは描くことを経験。年中になると、鉛筆で丸や波線を描く「線のワーク」に取り組み、鉛筆の持ち方や姿勢も少しずつ覚えていきます。また、年中では、ある音から始まる言葉をみんなで考える「頭字(とうじ)集め」も日々の保育の中でたびたび行います。言葉を考え、その文字にも触れながら、一年を通して五十音に親しむ活動です。こうした経験が、年長のひらがなノートへとつながっていきます。文字の活動で大切にしたいのは、子どもたちが文字に興味を持つこと。小学校に入るまでに自分の名前が書けたら、という思いもありますが、書けるようになることを急ぐのではなく、覚えた文字を使う機会へつなげることが目的。その一つが、夏の出来事を「なつのおもいで」というノートに記す活動です。
伝えることをたのしむ「なつのおもいで」発表活動

夏の思い出が、友だちとの会話へと広がる。東京音大幼稚園で大切にしている「なつのおもいで」は、ご家庭で夏の出来事を記したノートを見ながら、一人ひとりが友だちの前で発表する時間です。年長では、親しんできた文字も使って絵日記に。文字の表や大人の手を借りながら、その子なりの言葉で思い出を残します。発表のあとは、友だちからの質問タイム。「たのしかったですか?」から、「だれと行きましたか?」「なにを食べましたか?」と、年齢とともに質問も具体的になり、話す子にも、聞く子にも成長が見られます。自分の番をたのしみに待つ姿もあり、家庭での体験をクラスのみんなで分かち合う時間。ここで大切にしているのは、上手に発表したり、よい質問をしたりすることではありません。自分の経験を誰かに伝える、その第一歩です。みんなの前で話しづらい子には、先生がそばで問いかけたり、言葉を添えたりしながら、その子なりに伝えられるように支えます。
植物の栽培から製作や食育へ。身近な自然に学ぶ

東京音大幼稚園では、植物を育てる経験を、製作や食育へとつなげています。花の形や色を作品にしたり、収穫した野菜を味わったり。育てたものとの関わりは、その後の活動にも広がっていきます。年少では、育てたひまわりを参考に製作をたのしみます。年中では、育てたアサガオの花と同じ色の色水をにじませた和紙を製作に活用。自分たちで育ててきた花が、作品の題材になるのです。実際の花に触れることと、さまざまな素材や方法で表すことを、ひと続きの経験として大切にしています。年長が育てるのは、ナスやトマトなどの野菜です。収穫した野菜は、先生が簡単に調理するなどして、給食の時間にみんなで少しずつ味わいます。自分たちが世話をしてきた野菜が、いつもの食事に加わるひととき。育てるところから収穫し、食べるところまでを経験することで、植物の育ちと毎日の食事とのつながりに触れ、食べ物への関心を育んでいきます。
カメの飼育を通して命に触れる

園で飼っている2匹のカメ、「かめろん」と「のこりん」。名付け親は、それぞれを園に迎え入れたときの子どもたちです。その名前とともに、お世話も代々の子どもたちへと受け継がれてきました。なかでも「かめろん」は高齢で、長く園で暮らしているカメ。普段のお世話を担当するのは、年長のお当番です。毎日交代で、晴れた日にはカメを洗い、えさをあげて、園庭で散歩をさせます。長期休暇中は、子どもたちが協力して家でお世話をしたりします。長いお休みの間も、子どもたちが交代で2匹の暮らしを支えているのです。
年長の折り紙では、身近なカメを題材にすることもあります。日々親しんでいる生き物が、製作にもつながっています。名前を呼び、世話をし、次の子どもたちへ引き継いでいく。そうした関わりを通して、命を大切にする気持ちを育んでいきたいと考えています。こうして身近なものに触れ、表してきた経験は、日々の作品に。作品展では、その積み重ねをご覧いただくとともに、友だちと一緒につくる活動にも取り組みます。
共同製作で表現するたのしさを。集大成の作品展
11月の作品展では、春から取り組んできた製作を展示します。完成した作品を通して、子どもたちがどんなものに出会い、どのように表してきたのかをご覧いただく機会です。作品展に向けて取り組む共同製作では、年長さんたちを中心に、一つのテーマに沿った部屋をつくります。これまでには、恐竜や海の中などを題材にしてきました。子どもたちと先生たちとで興味があることについて話し合いながらイメージを共有し、何をつくるかを相談していきます。年中さんたちも、部屋の中に置くものの一部を製作します。いろいろな素材でつくったものが集まり、部屋全体が一つの世界に。完成後は、どの学年の子どもたちもそこであそびます。つくることとあそぶことがつながり、自分たちで形にしたものをみんなでたのしむ体験になります。
お祝いするよろこび、祝ってもらううれしさ。分かち合うお誕生会

東京音大幼稚園では、3か月ごとに、その期間に誕生日を迎える子どもたちをお祝いする「お誕生会」を開いています。歌ったり、お話の世界をたのしんだりしながら、友だちの成長をみんなでよろこぶ時間です。お誕生会とは別に、誕生日当日にも、みんなで歌を贈ります。友だちに「おめでとう」を届け、自分の誕生日にはお祝いしてもらう。そんな経験を通して、友だちの成長を一緒によろこび、自分も大切にされていると感じられる時間。歌や物語をみんなでたのしむことも、同じ場で気持ちを分かち合う経験になっています。
友だちとのあそびや話し合いを通して、人との関わりを育む

友だちと一緒に取り組む経験は、普段のあそびの中にもあります。年少では、それぞれの好きなあそびを大切にしながら、同じ場所で過ごすことや、「貸して」「いいよ」とやり取りすることから始まります。友だちをあそびに誘ったり、役割を決めたりするようになると、やりたいことがぶつかる場面も出てきます。そんなときは先生も加わり、どうしたらよいかを一緒に考えます。子ども同士で話し合いが始まったら、少し離れて見守ることも。共同製作やオペレッタ、鼓笛隊などで味わう「みんなでやった」という経験にも、日々のやり取りがつながっています。
一人ひとりのペースに寄り添う保育

年少では、みんなで行う活動に「やりたくない」と気持ちを表す子もいます。そんなときは、全体を進める先生とは別に、サポートする先生がそばで声をかけ、まずは短い時間から参加できるように関わります。最初は数分だった子が、一年を通して少しずつ、みんなと一緒に活動を続けられるようになる姿も見られます。年中・年長になると、活動を嫌がる姿はほとんど見られなくなり、声をかけると自然に取り組むように。「やってみたら、たのしかった」という経験の積み重ねが、次の活動に向かう気持ちにつながっているのかもしれません。活動時間も、20分ほどを目安にしながら、その日の子どもたちの様子に合わせて調整します。少し早めに切り上げる日もあれば、もう少し続ける日も。一人ひとりの気持ちや育ちを見ながら、参加の仕方と時間の両面で支えています。
保護者に聞きました。「音楽だけじゃない」と感じる?
東京音楽大学付属幼稚園には、音楽に加えてどのような保育・活動があるのでしょうか。子どもを通わせる保護者へのアンケートから、入園前のイメージと、入園後に感じている活動の魅力をご紹介します。
音楽教育への期待を持って選ばれる幼稚園


幼稚園を選んだ理由(複数回答可)では、「音楽教育・音楽活動に魅力を感じた」が81.0%と最多でした。一方、「園行事や日々の活動に魅力を感じた」も53.4%、「先生や園の雰囲気がよかった」も50.0%ありました。音楽とともに、日々の活動や園の雰囲気も、園選びの理由に挙がっています。
入園前は約9割が音楽中心のイメージ


入園前に「音楽中心の幼稚園」というイメージがあったかを聞くと、「あった」が63.8%、「どちらかといえばあった」が27.6%。合わせて91.4%が、音楽中心のイメージを持っていました。
入園後は93.1%が音楽以外の活動の広がりを実感


入園後、音楽以外にもさまざまな保育・活動があると感じるかという質問には、「とても感じる」が58.6%、「ある程度感じる」が34.5%。合わせて93.1%が活動の広がりを感じていると回答しました。音楽への期待が寄せられる一方で、入園後には音楽以外の活動も多くの保護者に実感されています。
保護者に聞きました。音楽以外でよかった活動は?


音楽以外で、お子さまにとって特によかったと感じる活動も聞きました。最も多く選ばれたのは「季節の行事」で75.4%の保護者が評価。続いて「絵画・製作」が64.9%、「植物を育てる活動」が52.6%でした。また、「当番・生活習慣」は47.4%、「友だちとの共同活動」は45.6%。行事や製作に加え、日々の生活や友だちと一緒に取り組む活動にも、保護者の評価が寄せられています。「運動・外あそび」は42.1%、「文字・ことばに触れる活動」と「英語」はそれぞれ38.6%の保護者が評価。身体を動かすこと、ことばに触れることなど、よいと感じる活動はさまざまな分野に広がっています。
音楽教育への魅力を入り口に、行事や製作、栽培、日々の生活などにも目を向けると、園生活のさまざまな側面が見えてきます。今回のアンケートからは、音楽以外にも幅広い活動があることを、多くの保護者が実感している様子がうかがえました。
東京音楽大学付属幼稚園 教育や毎日の保育についてのよくあるご質問
音楽以外には、どのような保育・活動がありますか?
言葉あそびやひらがなに親しむ活動、絵画・製作、植物の栽培、生き物のお世話、体操など、さまざまな活動があります。育てた花を題材に製作をしたり、夏の思い出を友だちに伝えたりと、それぞれの経験がつながることも大切にしています。
自由にあそんだり、体を動かしたりする時間はありますか?
はい。好きなあそびをたのしむ時間と、クラスのみんなで取り組む時間の両方を設けています。晴れた日には園庭であそび、夏には泥あそびをすることも。雨の日にも室内の遊具で身体を動かせるようにしています。
ひらがなは、どのように学びますか?
年少ではクレパスなどで描く経験から始め、年中では鉛筆で線を描くワークや、ある音から始まる言葉を考える「頭字(とうじ)集め」に取り組みます。年長ではひらがなノートを使い、絵日記などにもつなげます。書けるようになることを急がず、文字への興味を育むことを大切にしています。
「なつのおもいで」は、どのような活動ですか?
夏のできごとをご家庭で記した「なつのおもいで」というノートを見ながら、友だちの前で発表する活動です。発表後には質問を交わし、話すことと聞くことをたのしみます。人前で話しづらい子には、先生がそばで問いかけたり、言葉を添えたりして支えます。
植物や生き物と触れ合う機会はありますか?
年少ではひまわり、年中ではアサガオ、年長ではナスやトマトなどを育てています。育てた花を題材に製作を行い、収穫した野菜は給食の時間に味わいます。また、年長のお当番が、代々受け継がれてきたカメの「かめろん」と「のこりん」のお世話をしています。
作品展では、どのようなものを展示しますか?
11月の作品展では、春から日々の活動のなかで製作してきた製作物を展示します。また、年長を中心に、年中も参加する共同製作では、一つのテーマに沿って部屋全体をつくり上げます。完成後はどの学年の子もそこであそび、つくるたのしさと、みんなでたのしむよろこびを味わいます。
お誕生日は、どのようにお祝いしますか?
3か月ごとに、その期間に誕生日を迎える子どもたちのお誕生会を開き、歌やお話をたのしみます。それとは別に、誕生日当日にもみんなで歌を贈ります。友だちをお祝いするよろこびと、自分も祝ってもらううれしさを大切にしています。
友だちと意見がぶつかったときは、どのように関わりますか?
先生も一緒に、どうしたらよいかを考えます。「貸して」「いいよ」といったやり取りから、あそびの役割を相談することまで、子どもたちの育ちに合わせて支えます。子ども同士で話し合いが始まったときには、少し離れて見守ることもあります。
みんなで行う活動に参加したがらない場合は、どうしていますか?
年少では、全体を進める先生とは別に、サポートする先生がそばで声をかけ、短い時間から参加できるように関わります。活動時間も、その日の子どもたちの様子に合わせて調整。一人ひとりの気持ちやペースを見ながら、少しずつ経験を重ねられるように支えています。

